山の恐ろしさを知る、山頂フリューゲル演奏!
乗鞍二日目。
乗鞍岳には、畳平までマイカー規制のためタクシーかバスで行き、そこから様々な山に登れる道があります。
中でも剣ケ峰は、日本でも数少ない3,000m越えの山。
それ以外の大黒岳・富士見岳・魔王岳はどれも畳平から20分程度で登れるそうで。
今回の目的の「山頂でフリューゲルを吹く」はこの比較的ラクな山で達成しようと思っていました。
ところが、地元のひと曰く、主峰の剣ケ峰も簡単に登れるとのこと。
うちは5歳になったばかりの娘と妻と一緒なので、さすがに難しいのかと思っていたら、大丈夫とのこと。
しかも、今日は多分半袖でも大丈夫、とのこと。
ホントー?
ちなみにペンションから見ても、あんな高くてとんがってる。

不安なので、とりあえず畳平まで行って決めることに。
9時半にタクシーに乗り、畳平まで1時間かけてぐんぐん登ります。
運転手さんから、最近はクマ出る話を聞いたので、遭遇したらどうしたら良いか教えてもらいます。
少し曇っていたので、登山中にもしカミナリが来たらどうすれば良いか訊くと、
「もう覚悟を決める。あとは岩陰でも何でもいいから隠れる」
とのこと。覚悟を決めろと言われて大笑いしました。
畳平に着き、様子を見ると、子供からお年寄りまで結構気軽に登り始めていて。
コレなら行けるかな。
せっかくなら一番高い山に登ろう!と決心。

11:30に出発するので、帰りは少し余裕を持って15:00待ち合わせということにして、運転手さんと別れました。
まずは肩の小屋まで歩き、昼食をとり、12:40に再び出発。
さあ!ここからが本格的な山登り。

急な勾配に、歩きづらい岩や砂利に加え、5歳児と一緒だと、なかなか進みません。
でも娘は「雲にさわれたー!」と喜びつつ、もくもくと登ります。
滑って危険なので、半分手で引っ張りながらですが。
空気も薄くなってきました。
頂上でちゃんと吹けるかな。
すれ違う登山者に「わー、お嬢ちゃん凄いねー」とか「頑張ってねー」なんて言われつつ。
14:50。昼食から2時間10分もかけて、やっと頂上に着いたと思ったら、まだ蚕玉岳(2,979m)でした。
ここは右も左も雲だらけの尾根づたい。
右側に見える権現池が見えたとき、「山登りって最高!」と大盛り上がりでした。
娘も「一番の思い出ができたねー」
なんて元気な子なんだ。

そしてここへ来てやっと本物の頂上が見えてきました。

もう少し!
真ん中に見えるのは妻と娘です。
気づいたらウチの家族しかいません。
なんか貸し切りみたい。
これで晴れてたらなー。
曇っているためか、とても寒いです。
お腹が冷えちゃったため、山頂の左下に見える頂上小屋で、親子でトイレを借りることに。
初の簡易トイレは難しく、だいぶ時間がかかりました。
さあ、再出発。15:15。もう少し。

ちなみに、こんなナメた靴で登ってます。
すべるすべる。
雲が多くなってきました。
そこで遠くでカミナリが。
でも、頂上は目の前なので、急いで登ることに。
そして、15:30。
やっとの思いで頂上に!
標高3,029m!
でも、四方八方、雲で何にも見えません‥…。
でも、今回の「頂上でフリューゲルを」の思いを遂げなくちゃ。
急いでちゃっちゃと1曲吹きました。

曲は、YUHKI「丘を乗り越えて」
丘の標高じゃないけど。
今思うと大変危険なことをやってました。
遠くとはいえ、カミナリが聴こえる山頂で吹くなんて。
そして、15:40、急いで下山開始。
10分ぐらい降りたところで、雨が降ってきました。
レインコート持って来てよかった。
そして着終わった瞬間、土砂降りに。
それとともに、突然カミナリが近くでけたたましい音を。
まずい!
しかし、そこは蚕玉岳。
しばらく尾根。
避難する場所がない!
まる裸。
少し先に大きめの岩があるところを見つけ、急いで隠れられそうな岩を探すも、なかなか無く。
なんとか見つけた岩も、子供1人ギリギリ入れるだけのスペースしか無く。
でも、もうカミナリは目の前でバキバキと叫んでいて。
考えてる時間はない!
もう、ここにしよう!
娘を覆うように、妻と2人でかがんで。
ふと、背中のフリューゲルのバッグの金属が気になって、でも動くことのリスクがあるかもしれない恐怖で少し身動きが取れず。
でも、やっぱり不安なので肩からおろして隠すように岩陰に置く。
この動きをするだけでも、生きた心地がしません。
滝のような雨は3人を容赦なく叩き付け、次第に妻が寒さで凍え始めました。
雨に打たれている娘の足をかばうため、レインコートから出ていた妻の手が、もの凄く冷たくなってしまっていて。
それを暖めようにも自分の手も冷たくて。
始め、こわいといっていた娘がおとなしくなったので、声をかけてみると、寝始めてしまっていて。
ここは雪山ではないけど、体が冷えて寝るのは危険なんだろうと、わからないながらに考え、話しかけてなんとか起こすことに。
20分経過。
雨は増し、左から聴こえていたカミナリは、すぐそこの真上で鳴り始める。
足下では、岩の間を黄土色の砂水が滝のように流れている。
頭上を左から右へ走るカミナリの音は、今まで聴いたことの無い音に。
「ブシュシュルルルーーー!!!」
まるで巨大な龍が頭上を飛び回っているよう。
「おまえは生かす価値のある人間か?」
と品定めをされているようで。
近くに落ちたような音もする。
ああ、もうダメか。
おれはこんなところで、妻と娘を守ることができずに死ぬのか。
2人をかばって覆っている自分が1番背が高いので、おれに落ちたら必ずこの二人も巻き沿いになる。
では離れた方がいいのか?
頂上小屋まで5分ほど。
そこまで意を決して走った方が良いのか?
40分経過。
いつまで続くのだろう?
ずぶぬれになり、体は冷えていく。
このままあと2時間続いたら、体はもつのだろうか。
無力だ。
情けない。
山を知らな過ぎた。
どうか、みんなを助けてほしい。
もう願うしか、なす術が無い。
カミナリよ、去ってくれ。
雨よ、やんでくれ。
おねがいだ!
すると、あたりが少し明るくなって来た。
雲もへってきた。
よし、もう少しだぞ!
晴れるぞ!
希望が出て来た。
日のヒカリが差してきた!
晴れる!
その時、左側に信じられない光景が。
虹だ!
なんて見事な虹なんだろう。
上から見る虹なんて、見たことが無い。
2人に言う。
「虹だ!ほら見ろ。もう大丈夫だ!帰れるぞ!」
レインコート越しから恐る恐る見る2人。
そして雨もやみ、カミナリもならなくなる。
今のうちだ。降りよう!
急いで支度をします。
ここが僕らの避難岩です。

おれはともかく、娘を隠してくれて、ありがとう!
すると、さらに信じられない光景が!
虹が二重に!

「ダブルレインボウを見るものには幸せが訪れる」
頑張ったご褒美かな。
よく見ると、外側の虹は色の順番が逆です。
なんとか肩の小屋まで戻り、頂上を振り返ると、見えました、避難していたところ。
怖え〜。

畳平に着いたのは17:20。
なんでも、つい先週、近くの槍ヶ岳で落雷による死亡者がでていたそうで。
3,000m級の山は、夏の午後は天候が崩れやすい、ということも後で聞きました。
あと、カミナリは山頂では上からだけでなく、横からも下からも這って来るとのこと。
つくづく恐ろしい‥…。
タクシーでの下山中、またもや虹が!

これで3本目。
またご褒美もらっちゃいました。
その日は夜まで、正直生きてる実感がありませんでした。
おれ、ちゃんと生きてるよね?
みなさん、山登りは準備と知識を持って挑みましょう。
でも、今度は晴れた頂上でフリューゲル吹くぞー!
乗鞍岳には、畳平までマイカー規制のためタクシーかバスで行き、そこから様々な山に登れる道があります。
中でも剣ケ峰は、日本でも数少ない3,000m越えの山。
それ以外の大黒岳・富士見岳・魔王岳はどれも畳平から20分程度で登れるそうで。
今回の目的の「山頂でフリューゲルを吹く」はこの比較的ラクな山で達成しようと思っていました。
ところが、地元のひと曰く、主峰の剣ケ峰も簡単に登れるとのこと。
うちは5歳になったばかりの娘と妻と一緒なので、さすがに難しいのかと思っていたら、大丈夫とのこと。
しかも、今日は多分半袖でも大丈夫、とのこと。
ホントー?
ちなみにペンションから見ても、あんな高くてとんがってる。

不安なので、とりあえず畳平まで行って決めることに。
9時半にタクシーに乗り、畳平まで1時間かけてぐんぐん登ります。
運転手さんから、最近はクマ出る話を聞いたので、遭遇したらどうしたら良いか教えてもらいます。
少し曇っていたので、登山中にもしカミナリが来たらどうすれば良いか訊くと、
「もう覚悟を決める。あとは岩陰でも何でもいいから隠れる」
とのこと。覚悟を決めろと言われて大笑いしました。
畳平に着き、様子を見ると、子供からお年寄りまで結構気軽に登り始めていて。
コレなら行けるかな。
せっかくなら一番高い山に登ろう!と決心。

11:30に出発するので、帰りは少し余裕を持って15:00待ち合わせということにして、運転手さんと別れました。
まずは肩の小屋まで歩き、昼食をとり、12:40に再び出発。
さあ!ここからが本格的な山登り。

急な勾配に、歩きづらい岩や砂利に加え、5歳児と一緒だと、なかなか進みません。
でも娘は「雲にさわれたー!」と喜びつつ、もくもくと登ります。
滑って危険なので、半分手で引っ張りながらですが。
空気も薄くなってきました。
頂上でちゃんと吹けるかな。
すれ違う登山者に「わー、お嬢ちゃん凄いねー」とか「頑張ってねー」なんて言われつつ。
14:50。昼食から2時間10分もかけて、やっと頂上に着いたと思ったら、まだ蚕玉岳(2,979m)でした。
ここは右も左も雲だらけの尾根づたい。
右側に見える権現池が見えたとき、「山登りって最高!」と大盛り上がりでした。
娘も「一番の思い出ができたねー」
なんて元気な子なんだ。

そしてここへ来てやっと本物の頂上が見えてきました。

もう少し!
真ん中に見えるのは妻と娘です。
気づいたらウチの家族しかいません。
なんか貸し切りみたい。
これで晴れてたらなー。
曇っているためか、とても寒いです。
お腹が冷えちゃったため、山頂の左下に見える頂上小屋で、親子でトイレを借りることに。
初の簡易トイレは難しく、だいぶ時間がかかりました。
さあ、再出発。15:15。もう少し。

ちなみに、こんなナメた靴で登ってます。
すべるすべる。
雲が多くなってきました。
そこで遠くでカミナリが。
でも、頂上は目の前なので、急いで登ることに。
そして、15:30。
やっとの思いで頂上に!
標高3,029m!
でも、四方八方、雲で何にも見えません‥…。
でも、今回の「頂上でフリューゲルを」の思いを遂げなくちゃ。
急いでちゃっちゃと1曲吹きました。

曲は、YUHKI「丘を乗り越えて」
丘の標高じゃないけど。
今思うと大変危険なことをやってました。
遠くとはいえ、カミナリが聴こえる山頂で吹くなんて。
そして、15:40、急いで下山開始。
10分ぐらい降りたところで、雨が降ってきました。
レインコート持って来てよかった。
そして着終わった瞬間、土砂降りに。
それとともに、突然カミナリが近くでけたたましい音を。
まずい!
しかし、そこは蚕玉岳。
しばらく尾根。
避難する場所がない!
まる裸。
少し先に大きめの岩があるところを見つけ、急いで隠れられそうな岩を探すも、なかなか無く。
なんとか見つけた岩も、子供1人ギリギリ入れるだけのスペースしか無く。
でも、もうカミナリは目の前でバキバキと叫んでいて。
考えてる時間はない!
もう、ここにしよう!
娘を覆うように、妻と2人でかがんで。
ふと、背中のフリューゲルのバッグの金属が気になって、でも動くことのリスクがあるかもしれない恐怖で少し身動きが取れず。
でも、やっぱり不安なので肩からおろして隠すように岩陰に置く。
この動きをするだけでも、生きた心地がしません。
滝のような雨は3人を容赦なく叩き付け、次第に妻が寒さで凍え始めました。
雨に打たれている娘の足をかばうため、レインコートから出ていた妻の手が、もの凄く冷たくなってしまっていて。
それを暖めようにも自分の手も冷たくて。
始め、こわいといっていた娘がおとなしくなったので、声をかけてみると、寝始めてしまっていて。
ここは雪山ではないけど、体が冷えて寝るのは危険なんだろうと、わからないながらに考え、話しかけてなんとか起こすことに。
20分経過。
雨は増し、左から聴こえていたカミナリは、すぐそこの真上で鳴り始める。
足下では、岩の間を黄土色の砂水が滝のように流れている。
頭上を左から右へ走るカミナリの音は、今まで聴いたことの無い音に。
「ブシュシュルルルーーー!!!」
まるで巨大な龍が頭上を飛び回っているよう。
「おまえは生かす価値のある人間か?」
と品定めをされているようで。
近くに落ちたような音もする。
ああ、もうダメか。
おれはこんなところで、妻と娘を守ることができずに死ぬのか。
2人をかばって覆っている自分が1番背が高いので、おれに落ちたら必ずこの二人も巻き沿いになる。
では離れた方がいいのか?
頂上小屋まで5分ほど。
そこまで意を決して走った方が良いのか?
40分経過。
いつまで続くのだろう?
ずぶぬれになり、体は冷えていく。
このままあと2時間続いたら、体はもつのだろうか。
無力だ。
情けない。
山を知らな過ぎた。
どうか、みんなを助けてほしい。
もう願うしか、なす術が無い。
カミナリよ、去ってくれ。
雨よ、やんでくれ。
おねがいだ!
すると、あたりが少し明るくなって来た。
雲もへってきた。
よし、もう少しだぞ!
晴れるぞ!
希望が出て来た。
日のヒカリが差してきた!
晴れる!
その時、左側に信じられない光景が。
虹だ!
なんて見事な虹なんだろう。
上から見る虹なんて、見たことが無い。
2人に言う。
「虹だ!ほら見ろ。もう大丈夫だ!帰れるぞ!」
レインコート越しから恐る恐る見る2人。
そして雨もやみ、カミナリもならなくなる。
今のうちだ。降りよう!
急いで支度をします。
ここが僕らの避難岩です。

おれはともかく、娘を隠してくれて、ありがとう!
すると、さらに信じられない光景が!
虹が二重に!

「ダブルレインボウを見るものには幸せが訪れる」
頑張ったご褒美かな。
よく見ると、外側の虹は色の順番が逆です。
なんとか肩の小屋まで戻り、頂上を振り返ると、見えました、避難していたところ。
怖え〜。

畳平に着いたのは17:20。
なんでも、つい先週、近くの槍ヶ岳で落雷による死亡者がでていたそうで。
3,000m級の山は、夏の午後は天候が崩れやすい、ということも後で聞きました。
あと、カミナリは山頂では上からだけでなく、横からも下からも這って来るとのこと。
つくづく恐ろしい‥…。
タクシーでの下山中、またもや虹が!

これで3本目。
またご褒美もらっちゃいました。
その日は夜まで、正直生きてる実感がありませんでした。
おれ、ちゃんと生きてるよね?
みなさん、山登りは準備と知識を持って挑みましょう。
でも、今度は晴れた頂上でフリューゲル吹くぞー!
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