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一番大事なフリューゲル

20年使い込んでる今のフリューゲル(Bach183スターリングシルバーベル)のモデルは、頼んでももう製造してくれないので、今のうちに別の後がまを探し続けてはや10数年。
ほんとは同じのを新品で欲しいんだけど。
VINCENT BACHさん、復刻してくれないですか?

たまに、コレは!というものがあって吹きに行くと、比較のため吹いてるこの子、必ず最高の音を出す。
コントロールのし易さと、自在に操れる音程と、心地良い吹奏感。
そして何よりも、この音。
なんだか、
「僕(あたし?この子オトコ?オンナ?)、まだまだこんなにやれるよ。
いい音楽するよ。
大事にしてくれてるからピストンも軽快だよ。」
って言われているようで。
いや、キミが今ダメって言うわけじゃないんだ。
今後、何かあったときの為なんだ。
その時、一緒に廃業するわけにはいかないんだ。
でも、キミみたいに楽しませてくれる子が、いないんだ。

現場で人にぶつけられちゃって凹まされちゃった時、
うちに帰って、この子抱えながらアホみたいに泣いたっけ。(これ、なぜか不幸にも何回もある。)


大丈夫、キミはずっと一緒。
焼いたら持ったいないから墓場までは持っていかないけど。
もし壊れても限界までなんとか直してもらって吹くよ。


なんか泣けてきた。あ、酒飲み過ぎか。

ん、そろそろ変人だと思ってる?
そりゃそうだ。それは仕方がないです。


そんなこの子の音は、YUHKI 1st フリューゲルホルンアルバム「Our Life」で存分に堪能できます。
聴いてやって。
こんな音出す子(おれ含め)は、世界中探してもいないよ。

BACH183.jpg
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佛坂咲千生さま

本日はアベカフェにて、J'z crazeのシークレットライブでした。
メンバーはNHK交響楽団のトランペット奏者、佛坂咲千生氏、ギターの安部一城氏、ベースの浅井勇作氏。

僕は学生の吹奏楽で指揮もするのですが、2番吹きの重要さや難しさを、ことあるごとに佛坂さんの演奏や言葉をお借りして指導してきました。
2番吹きは1番トランペット吹きの特性である自由に吹く音と、全体の音との間に入って総てをアリにする事のできる耳とコントロール能力と精神力を持っている人のみができる職業です。

楽器屋さんでの選定のお仕事の時でも、佛坂さんが選定したものがあれば、僕が選ぶ必要はありませんでした。

そんなクラシック界のプリンスがジャズをやっているというのを知ったときは、何故か嬉しくなりました。

そして今日です。

フクシマレコーズのレコーディングでも共演させていただいてる安部一城さんの紹介でお会いする事ができました。
たくさんお話しさせていただいたり、お互いの楽器の吹きっこをさせてもらったり、アルバムの物々交換をさせて頂いたり、ツインフリューゲルのバンドの話を提案をしていただいたり(笑。ここに書いちゃった事で動かぬ証拠を作ってるつもり)、最高のアフターライブでした。

佛坂さんの生き様、勉強になります。
明日いつもより余計に練習する事を心に誓いつつ、帰ってきてからも嬉しくて飲んでるYUHKIです。

「ドラゴンの年」

ゴールデンウィーク直後の5月8日に、國學院大學久我山中学高等学校吹奏楽部 第34回定期演奏会があります。

久我山吹奏楽部第34回定演チラシ

学生達は少ない時間と戦いながら、しかも勉強と両立しつつ、一生懸命練習に励んでいます。

YUHKIは指揮者としてステージに立ちます。指揮者のときは大坂結城でやっています。

フライヤーにある通り、曲目は吹奏楽で人気のある曲がてんこ盛りです。
その中でも、気になるのはなんと言っても「ドラゴンの年」ですよね。

20年前、ヨーロッパのブリティッシュ系ブラスバンドの大会のCDでこの曲を聴いた時から、「いつか吹きたい!」と思っていましたが、辰年の今年2012年に指揮者としてステージに立つ事になりました。
20年前は想像もしていませんでした。吹奏楽とブラスバンドの違いもよくわかっていませんでしたが。

この曲はイギリスの作曲家フィリップ・スパーク氏の作品で、元々はブラスバンド(金管バンド)の為に書かれたものですが、今回演奏するのは本人が吹奏楽用にアレンジしたものです。

スパーク氏の書く曲は、やはり自分が金管吹きだからか、氏の気持ちがわかる気がするんです。だから曲を仕上げてゆく過程が楽しくて仕方ありません。僕が指揮をするときに一番大事にする事は、作曲者の気持ちです。指揮者のエゴなんて出したくない。自分が作曲家だからでもあると思いますが。カットや勝手なアレンジもしたくない。どうしようもない時はよくありますが‥…。その時は申し訳ない気持ちで胃が痛くなります。あ、カバーは別ですよ。

好きな理由は、氏が自分と同じ左利きなのも意味あるのかも。な~んて。あ~、左手で指揮振りたい。そのほうが100倍ラクです。もう克服しましたが。

さて、20年間スコアを見ず音源だけで気に入っていたこの曲ですが、いざ譜面が来て合奏をしてみて愕然としました。
想像していたのと全く違う拍子だったのです。
コレがとにかくわかりづらい!

あ、先に言っておきますが、今回20年分の思いが詰まっているので、文章長いですよ。お覚悟ーっ!

音源だけ聴いて1拍目だと思っていた所が4拍目だったり、同じフレーズが変拍子だったり、ただの2拍子だったり。
ブラスバンド版とイメージが違う楽器の編成だったり。
スパークさん、やり過ぎです。
引っかけ問題を怒濤のごとく詰め込んで、「これ、君たちにできるかな~笑」なんて言われているみたいです。
よく、聴いている人が「えっ?今どうなったの?」っていう曲ありますよね。あれの逆で、演奏者や指揮者が「えっ?」てなってしまうスコアなんです。でも音だけ聴いてる人はすんなり聴けるんです。んも~、イジワル。
振るより吹く方がラクそう。

だいぶ研究しました。
スコアにこんなに書き込んだ事は、未だかつてありませんでした。
指揮者人生で最大の難問です。大して数こなしてませんが。
今まで、指揮者がスコアにたくさん書き込むなんて、かっこ悪いと思っていました。
今、僕の「ドラゴンの年」のスコアは書き込みで真っ赤です。
やってもいいなら指揮法を無視して拍子を全部変えたいぐらいです。
ま、赤いドラゴンはスパーク氏の想像する「ウェールズの国旗の赤竜」のようで良いですが。

指揮者の一番の仕事は、「曲を料理する時間」です。
すなわちバンドとのリハーサルの時間の使い方です。
これは、バンドによって全く異なります。

今回、この難曲を、あえて中学2年から高校3年までの部員全員で演奏する事にしました。
しかも練習時間が非常に少ない状況で。
しかも勉強できない子は参加できない条件で。
下級生のまだ演奏能力が未熟な学生は、こんな曲をやらせるのは酷な話です。
でも、経験してもらいたかったんです。
あきらめずに全員でひとつの音楽を作り上げる喜びを。
そして、いつか「私、ドラゴンの年、演奏した事あるんだよ」って言えるように。
みんな頑張っています。
必死に練習しています。
演奏が終わった後の、大きな拍手に包まれる瞬間を味わう為に。

5日後に本番を控えて、やっとみんなの目の色が変わって来ました。
はじめは難しくてあきらめムードだったバンドが、できるようになってきて、演奏を楽しみ始めてきたのです。
部員のお父さんお母さんにも、友達にも、先生にも、通りすがりの人にも、全員に観てもらいたいです。
みんな、自分の一度しかない学生生活を、必死に楽しもうとしています。
みんなで応援しません?
最高の大人に成長していきますよ。
‥…話がそれました。


あと、R.W.スミス「海の男たちのうた」を振る為に、いま遅ればせながら一生懸命に漫画「ONE PEACE」を読んでます。まだ20巻。本番までに全部読めないよー。どうしよ、ってこれ、あんまり意味ない?
いや、あまりにも海外の海の男のイメージが貧弱だったもんで。
ゴムゴムの~、


とにかく、いろんな思いが込められた演奏会です。
お時間ある方、是非。



國學院大學久我山中学高等学校吹奏楽部第34回定期演奏会

5月8日(火)
開場17:30
開演18:00
入場無料
なかのZEROホール

曲目
ドラゴンの年
春の猟犬
大阪俗謡による幻想曲
海の男たちのうた ほか

指揮
安藤雅夫
大坂結城