
渋谷のシアターコクーンに蜷川幸雄氏演出の『ひばり』のゲネプロを観せてもらいに行った。
ジャンヌ・ダルクを題材としたジャン・アヌイの作品を主演に松たか子嬢を迎えたこの舞台。
とにかく圧巻だったのは松嬢のパワー。
数十名のおじさま(失礼)方を相手に膨大な台詞を自在に演じきった彼女は、まさにジャンヌ・ダルクそのものに見えた。素晴らしかった。
彼女の声も素晴らしく、後ろを向いていようが走り回っていようが、すべての『言葉』がこちら側にすんなり入って来る。
そういえば彼女の歌声もすんなり入って来る。
舞台を観ててもやっぱり声質は音楽的に感じてしまう癖があるのだけど、舞台も音楽もどっちも同じだと思う。
客席から聴いてて、声質や発声の違いで何を言ってるのかさっぱり聞き取れない役者がいっぱいいる。大きければ良いってもんじゃない。この舞台にも出てた品川徹氏の声はとても小さくこもった感じなのだけれども台詞は不思議と耳に入ってくる。山崎一氏の声もすんなり入ってくる。
例えばマイクなんかなかった時代にオペラ歌手が良く聞こえない声量だったら、まず仕事は来ないだろう。
役者も台詞が聞き取りにくい人は仕事として舞台俳優を選ぶべきではないと思う。いくら見た目や動きが良くてもそこだけは外せないものだと思う。マイク使える映像系は別だけど。
人は、いくら好きでも仕事にして生きていくには選ぶべき仕事と諦めるべき仕事があると思う。
今回いろいろ考えさせられた。